極めて優勢な台風が室戸岬の僅か西方から高知県に上陸し、徳島市付近、淡路島を経て神戸市をかすめ、次いで尼崎付近を通過して京都市付近に達し、更に北東に進んだ。20日22時頃より小雨となり、21日黎明天候悪化し、7時前後暴風となり、甚大な被害が県内各地に生じた。
被害甚大地域は、淡路・阪神間・但馬方面である。阪神間・淡路地方は高潮と暴風雨のため、海岸地帯一円は浸水の被害により、田畑・家屋の流失に伴う多数の死傷・行方不明者を出し、但馬地方は急激なる河川増水によって道路・堤防の決壊、家屋・橋梁の流失等惨禍を極め、殊に交通不便の山村では、交通路を絶たれ、糧食の欠乏を告げる惨を見るに至った。
また山陰・播但線は復旧に相当の時日を要し、阪神間では各発電所が相当の被害を受け、その復旧に22日間を要した所もあった。