8日にマーシャル諸島の西で発生した台風は、西北西に進んで次第に発達し、12日には沖の鳥島の南東約500kmの洋上に達した。9時45分の飛行機観測によると中心気圧は988hpa、中心付近の最大風速は100m/sであった。
13日には進路を北西に、14日にはさらに北に転じて沖縄に近づき、夜に沖縄の東海上を通過して、進路を次第に北北東に転じ、15日朝奄美大島を通過した。
16日には四国の南海上から室戸岬を目指して進み、9時過ぎに室戸岬の西方に上陸した。その後、淡路島南西部を通って、13時30分頃、兵庫県尼崎市と西宮市の間に再上陸した。台風はさらに北東進を続け、14時に京都市付近、15時に敦賀市付近を通過し、18時に能登半島東部に達した後、日本海に出て沿岸沿いに北北東に進んだ。
この台風による被害は高潮と風によるものが主で、近畿地方を中心として全国に及んだ。この台風の規模は室戸、枕崎台風に次ぎ、伊勢湾台風とほぼ同じくらいであったが、人的被害は全国で200人と先の3台風に比べると非常に少なかった。兵庫県内の被害は、淡路島を含む県南部では高潮によるものが大きく、県北部では円山川をはじめ、中小河川の氾濫による水害が大きかった。