21日にグアム島付近で発生した台風は発達しながら北上を続けて、26日18時に和歌山県潮岬の西方から紀伊半島へ上陸した。上陸後は、奈良・三重県境を通り、6時間余りで本土を縦断し、27日0時過ぎに富山市の東方から日本海に入った。その後、衰弱しながら日本海沿いに北上し、同日21時に北海道の東方海上で温帯低気圧になった。
この台風は暴風域が非常に大きく、中心付近ではかなり強い風速を有していたのが特徴である。雨は、25日の台風前面の前線によるものと、26日の台風通過によるものとに分けられる。県内の降雨状況は、県北部と淡路島の南部では全般に200mm以上で、県北部の一部では300mmに達した。この雨で円山川支流の奈佐川の堤防が決壊・氾濫し、豊岡市内の約60%が浸水した。
この台風の通過によって三重県・愛知県をはじめとして、中国地方以東の39都道府県の広範囲にわたって被害が発生し、死者4万3千余名、罹災者概数153万余名という未曾有の惨害を被った。